「私の年収って、これが妥当なのかな?」
看護師として長年働くと、こんな疑問が出てきませんか?看護師は他の職種より高収入とも言われますが、夜勤や急患対応など体力を使う仕事も多いはずです。仕事以外にも勉強会など自己研鑽もするとなると、「この給料でこんなに仕事をするって当たり前なの?」と思うのも仕方ありません。
実は、看護師の平均年収は約500万円と全職種の平均年収より高くなっています。
ただ、立地や病院規模の差があるので、一概に看護師は高年収とはいいきれません。
そこでこの記事では、「年収アップを狙いたいけど、転職するなら今なの?」「そもそも私の年収って周りと比べてどうなの?」という疑問に応えるべく、いま働く看護師のリアルな年収額を徹底調査しました!
この3つを中心に解説していきます。
まずは看護師がどのくらい給料をもらっているか細かくみていきましょう。この項目では厚生労働省が実施した令和4年賃金構造基本統計調査を中心に、看護師のリアルな年収額について解説していきます。
まずは都道府県別の平均年収をご紹介します。
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
1位 | 東京 | 564.1万円 |
2位 | 奈良 | 545.8万円 |
3位 | 兵庫 | 541.5万円 |
4位 | 埼玉 | 541.3万円 |
5位 | 富山 | 535.0万円 |
6位 | 岐阜 | 531.9万円 |
7位 | 和歌山 | 530.2万円 |
8位 | 新潟 | 529.7万円 |
9位 | 大阪 | 529.6万円 |
10位 | 神奈川 | 527.9万円 |
11位 | 静岡 | 523.0万円 |
12位 | 愛知 | 521.2万円 |
13位 | 滋賀 | 518.3万円 |
14位 | 京都 | 516.2万円 |
15位 | 千葉 | 514.2万円 |
16位 | 山口 | 513.4万円 |
17位 | 福井 | 511.7万円 |
全国平均 | 508.1万円 | |
18位 | 北海道 | 504.5万円 |
19位 | 宮城 | 504.0万円 |
20位 | 茨城 | 502.4万円 |
21位 | 山梨 | 498.3万円 |
22位 | 福岡 | 498.2万円 |
23位 | 香川 | 496.9万円 |
24位 | 長野 | 496.8万円 |
25位 | 徳島 | 494.9万円 |
26位 | 広島 | 490.9万円 |
27位 | 三重 | 490.1万円 |
28位 | 福島 | 489.0万円 |
29位 | 秋田 | 487.1万円 |
30位 | 群馬 | 484.6万円 |
31位 | 佐賀 | 484.4万円 |
32位 | 島根 | 483.5万円 |
33位 | 岡山 | 482.2万円 |
34位 | 長崎 | 481.0万円 |
35位 | 岩手 | 478.7万円 |
36位 | 沖縄 | 477.5万円 |
37位 | 石川 | 476.3万円 |
38位 | 山形 | 472.5万円 |
39位 | 高知 | 458.0万円 |
40位 | 鳥取 | 451.0万円 |
41位 | 栃木 | 449.8万円 |
42位 | 青森 | 449.3万円 |
43位 | 熊本 | 443.9万円 |
44位 | 愛媛 | 437.8万円 |
45位 | 大分 | 433.3万円 |
46位 | 宮崎 | 427.3万円 |
47位 | 鹿児島 | 396.4万円 |
全国平均の508.1万円を上回る都道府県は17都府県で、東京・名古屋・大阪の三大都市圏に属する都府県が中心です。一方で九州・沖縄地方や四国地方は400万円台となっており、第1位の東京都と比べると約168万円の差がありました。
このような地域差が発生する大きな理由として、以下の2つが考えられます。
東京・名古屋・大阪といった三大都市圏に近い都道府県はここ数年で最低賃金が1,000円以上になっています。看護師の時給は最低賃金の1.8~2倍で設定されることが多いので、最低賃金が上がったことで給料の相場があがっている可能性があります。
また慢性的に看護師不足が起きている地域では、採用率や定着率の向上のために給料を高く設定しています。
次に紹介するのは年齢別の平均年収です。
年齢 | 女性 | 男性 |
20~24歳 | 402.5万円 | 375.5万円 |
25~29歳 | 475.9万円 | 484.6万円 |
30~34歳 | 469.5万円 | 519.7万円 |
35~39歳 | 500.5万円 | 539.4万円 |
40~44歳 | 522.0万円 | 572.7万円 |
45~49歳 | 564.1万円 | 579.6万円 |
50~54歳 | 564.0万円 | 599.8万円 |
55~59歳 | 581.5万円 | 527.5万円 |
60~64歳 | 484.1万円 | 461.0万円 |
65~69歳 | 393.8万円 | 422.2万円 |
70歳~ | 400.8万円 | 316.3万円 |
年収のピークは男女問わず50~54歳です。どちらも年収500万円台後半まで上がり、ここからはぐっと下がっていきます。
20代は女性のほうが高年収となる時期があります。なぜこのようなことが起こっているのか、20代の看護師の年収事情についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
しかし、30代になると事情が変わります。というのも、30代女性は結婚・出産などで職を離れることが多い時期です。夜勤免除・時短勤務などで年収の伸びがゆるやかになり、50代に入るまでは男性のほうが平均年収が高くなります。
看護師の年収額を決める要素は立地や年齢だけではありません。病院の設置母体や病床数も影響してきます。
この項目では日本看護協会が実施した2022年病院看護・助産実態調査の平均月収額に関するデータを用いて解説します。
2022年病院看護・助産実態調査によると、31~32歳・非管理職の看護師が一番稼げる設置母体は私立大学病院でした。
順位 | 設置主体 | 平均月額給与(税込) |
1位 | 私立学校法人 | 35万9,667円 |
2位 | 会社 | 35万7,728円 |
3位 | 日本赤十字社 | 35万0,417円 |
4位 | 社会保険関係団体 | 34万9,033円 |
5位 | 国立 | 34万1,930円 |
6位 | 公立 | 34万,863円 |
7位 | 済生会 | 33万9,488円 |
8位 | 厚生連 | 33万1,267円 |
9位 | その他の法人 | 32万9,295円 |
10位 | 公益法人 | 32万7,668円 |
全体平均 | 32万4,446円 | |
11位 | 社会福祉法人 | 32万,753円 |
12位 | 個人 | 32万,248円 |
13位 | 医療生協 | 31万9,108円 |
14位 | 医療法人 | 31万2,614円 |
ただしこの数字を鵜呑みにするのは少し危険です。というのも、14位の医療法人は小規模クリニックも含むので数が膨大になります。給与水準もバラバラなので、必ずしもこの数字になるとは言えません。
では、病床数でみるとどうでしょうか?同じ調査の病床数別ランキングを見ていきます。
順位 | 病床規模 | 平均月額給与(税込) |
1位 | 500床以上 | 35万4,173円 |
2位 | 400~499床 | 34万1,150円 |
3位 | 300~399床 | 33万6,987円 |
全体平均 | 32万4,446円 | |
4位 | 200~299床 | 32万2,252円 |
5位 | 100~199床 | 31万9,479円 |
6位 | 99床以下 | 31万1,133円 |
やはり規模が大きい病院であればあるほど月収が上がる傾向があります。
同時に、病床数が多い病院といえば大学病院や日本赤十字社など、設置母体の月収ランキング上位にいる設置母体が運営していることがほとんど。病床数と設置母体は関連性があるようです。
他の職種で働く人から「看護師は稼げるからうらやましい」と言われた経験、ありませんか?年収額が同じでも、家賃や物価などによっては安く感じる場合もあります。「看護師は稼げる」の真相を知るためには、同じ地域の他職種との比較が大切です。
令和4年賃金構造基本統計調査をもとに実際に比較してみると、地域差が大きいことがわかりました。
地域差はあるものの、看護師は平均よりは稼げる仕事です。
こちらの表は地方ごとの看護師の平均年収と全職種の平均年収、女性の全職種平均年収を比べたものです。
地域 | 看護師の平均年収 | 全職種の平均年収 | 全職種(女性)の平均年収 |
北海道・東北 | 483.6万円 | 406.4万円 | 330.2万円 |
関東 | 512.0万円 | 503.3万円 | 394.5万円 |
北陸・甲信越 | 508.0万円 | 446.5万円 | 360.5万円 |
東海 | 516.5万円 | 487.4万円 | 371.7万円 |
関西 | 530.3万円 | 490.6万円 | 395.1万円 |
中国 | 484.2万円 | 441万円 | 357.5万円 |
四国 | 471.9万円 | 428.3万円 | 349.3万円 |
九州・沖縄 | 455.3万円 | 415.1万円 | 341.0万円 |
全職種の女性平均と比べると、看護師の平均年収は高く感じられます。しかし男女どちらも含めた全職種の平均年収でみると、特別高いとは言えないエリアもあります。
令和4年賃金構造基本統計調査より、都道府県別でみると東京・神奈川・栃木では看護師の平均年収は全職種の平均年収を下回っています。
一方で北海道・東北地方や北陸・甲信越地方では全職種の平均年収より1つ頭が飛び出るほどの金額になっています。地域差はあるものの、看護師は平均よりは稼げる仕事といえるでしょう。
ここまで全国の看護師のリアルな年収事情について説明してきました。全国平均と自分の年収額を比べて違和感を覚えたなら、一度自分の給料が妥当なのか確認してみましょう。
この項目では基本給以外に支給される手当を中心に紹介します。ここから先はお手元に給与明細を準備して、実際に見ながら進めてください!
まず確認すべきは時間外手当、いわゆる残業代の支給があるかどうかです。基本的に時間外労働が発生したら残業代が支給されます。どの時給で時間外手当を計算するかは職場によって異なりますが、1万円程度発生していてもおかしくありません。
なお、残業しているはずなのに時間外手当が支払われていないのは違法です。一度職場に確認してみてください。
日勤のみの勤務ではない限り発生するのが夜勤です。
あるアンケートによると、夜勤手当は1回あたり1万円台という回答が4割、次いで1万円以下が3割強と続いています。2交代制の場合、夜勤手当として4~5万円もらっていれば平均といえるでしょう。
もし給与明細を見ていて、○○手当として支給されている項目が多い場合は注意が必要です。というのも、裏を返せば手当が支給される仕事をやらないと一気に収入が減る可能性があるからです。
看護師は元々基本給以外の手当支給が多い職種です。基本給が上がりにくく手当で稼ぐ形の場合、将来的に年収が頭打ちとなり「給料と仕事量が合っていない」と感じる可能性が高くなります。
基本給がここ数年変わっていないのであれば、年収が頭打ちになる可能性がより上がるので注意が必要です。
「給料、ここ数年変わっていないな…」「もっと稼ぎたい!」と思ったなら、できることが4つあります。今すぐできることもあるので、まずはここで取り上げた内容を試してみてください!
まず1つ目にできることは夜勤を増やすことです。夜勤がある職場の場合、夜勤手当を増やすのが手っ取り早く年収アップができます。心身に支障をきたさない程度に夜勤を増やせないか職場と相談してみましょう。
夜勤がない職場の場合は、夜勤専従のアルバイトというものがあるので一度探してみて下さい。インテントキャリアでも夜勤専従看護師の募集を掲載しています。
2つ目は夜勤以外の手当を増やすことです。狙いやすいのは資格手当や役職手当でしょう。
資格手当をもらうなら、専門看護師・認定看護師が目指しやすいです。これらの資格保有者がいる病院は診療報酬で加算されるので、職場側もサポートしてくれるかもしれません。一度相談してみましょう。
入職してから年数がたっており、後輩もたくさんいる状態なら主任など役職者になるのも1つの手です。看護というより教育・業務改善がメインとなりますが、役職手当がつくので年収は増えます。
ただ看護以外の責任が発生しますし、役職者になるまで時間を要する場合もあります。自分自身が将来どうなりたいかじっくり考えてから職場と相談しましょう。
3つ目は別の収入源を確保することです。
看護師だけで年収アップするには時間がかかりますし、経験が浅い若手看護師はすぐに収入を増やせません。職場の就業規則で禁止されていないのであれば、副業として単発のアルバイトや医療系ライターなどを始めてみるとよいでしょう。もし副業ができない職場の場合は、資産運用なら就業規則に違反しない形で収入を増やせます。
ただし、資産運用も副業も必ずしも稼げるわけではありません。ある程度のリスクが発生することを考えた上で取り組んでください。
4つ目は転職です。「今の職場のままだとずっと稼げないままかもしれない…」と考えるくらいなら職場を変えてみるのはいかがでしょうか。
看護師の待遇は職場によって大きく異なります。まずは他の職場を知るためにも転職サイトをざっと見てみると良いかもしれません。
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看護師の資格が生かせる仕事は医療機関に限りません。介護施設や保育園・こども園といった福祉関係のお仕事、検診センターや献血ルームに企業の産業看護師、医療関連メーカーでの営業まで看護師資格が重宝される場は多いです。
職種によっては看護師以上の年収を得られる仕事もあります。どんな仕事があるのかぜひ○○で探してみてください。「看護師以外の仕事に挑戦したい!」という人も大歓迎です!
看護師の平均年収は約500万円と全職種の平均年収より高い数字が出ています。ただ立地や病院規模の差があるので、一概に看護師は高年収とはいいきれません。
もし給与明細を見て、夜勤手当など手当支給が多く基本給が極端に低い場合はこれから先年収額が頭打ちになる可能性があります。さらに年収を増やしたいなら夜勤を増やす、資格手当や役職手当狙いでスキルアップ・キャリアアップを狙うのが一般的です。
しかし、大幅な年収アップを狙うなら転職をして職場を変えてしまうのも1つの手でしょう。
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