インテントキャリア

少しずつメジャーになってきているアジャイル開発。

その中でも特にスクラム開発は有名な手法なので、名前を耳にしたことがある人も多いでしょう。

スクラム開発は開発を円滑に進める仕組みだけでなく役割分担も重要です。

裏を返せば役割を正確に理解できないとスクラム開発は正常に進みません。

また従来の開発のようなプロダクトマネージャー（PdM）といった立場の人がいない中でどう開発が進むかイメージがわかない人もいるでしょう。

今回はスクラム開発における重要な役割であるスクラムマスターとプロジェクトを管轄するプロダクトオーナーとの違いを解説します。

またアジャイルコーチ・プロダクトマネージャーといった他の役職者との違いについてもお伝えします。

スクラム開発にかかわる役職者・責任者

少人数で短期間の開発を繰り返すスクラム開発。

この開発はプロダクトオーナー・スクラムマスターが中心となってチームを構成します。

この2つの大きな違いはスクラム開発そのものにどのくらい関わるか、です。

1.スクラムマスター

まずスクラムマスターについてお話しします。

スクラムマスターはスクラム開発における中心人物。

スクラム開発とは何かから指南し、開発メンバー全員が自発的に動けるようサポートします。

同時に、チーム内で起きたトラブルにも対処します。

スクラムマスターはスクラム開発を機能させることに重きを置きます。

プロダクトオーナーも含めた開発メンバー全員がスクラム開発を理解し、よりスピーディーかつ高品質な開発ができるようアシストします。

2.プロダクトオーナー

一方、プロダクトオーナーはスクラム開発によって作り出されたプロダクトに関する責任者です。

プロダクトオーナーの目的は開発されたプロダクトの市場価値を最大化し、求められているプロダクトを作ること。

必ずしもスクラム開発そのものに精通している必要はなく、どちらかといえばビジネスに関する知識が求められます。

スクラムマスターとプロダクトオーナーの大きな違い

スクラムマスターとプロダクトオーナー、この2つの一番の違いはどこに責任を持つかです。

スクラムマスターはスクラム開発の指南役であり、スクラム開発が順調に進むかどうかに責任を負います。

スクラム開発にフルコミットし、あるべき環境で開発ができているかを見張る存在といえるでしょう。

一方プロダクトオーナーはプロダクトに関する責任者。

いいプロダクトを作るにはよい開発環境を準備せねばいけません。

そのため、スクラムマスターはスクラム開発の知識が乏しいプロダクトオーナーをサポート役となることも多いです。

スクラム開発の専門家とビジネスの専門家が連携して進めるのがスクラム開発なのです。

スクラムマスターとプロダクトオーナーは兼任できるのか

従来のウォーターフォール開発ではプロジェクトマネージャー（PM）とプロダクトマネージャー（PdM）が兼任することがよくあります。

スクラム開発においても似たように兼任することはあるのでしょうか？

スクラム開発のバイブルであるスクラムガイドには、兼任に関する記述はありません。

しかし、兼任しても機能しないことがあります。

理由は複数ありますが、最も大きい理由は求められる役割が大きく異なるから。

開発を円滑に進めたいスクラムマスターと、早くプロダクトをリリースしたいプロダクトオーナーの間で衝突することもあります。

兼任していると、プロダクトオーナーとしての都合で押し切ってしまい、結局いいプロダクトができないということにもなりかねません。

また、スクラムマスターとプロダクトオーナーが存在しているのは責任の分担を図るためでもあります。

スクラム開発の根本を考えると、兼任は望ましくないでしょう。

アジャイルコーチとスクラム開発の関係性

スクラム開発はアジャイル開発の一部なのですが、アジャイル開発における役割の一つにアジャイルコーチと呼ばれるものがあります。

アジャイルコーチはアジャイル開発の導入を進める指示役。

スクラム開発に限らず、エクストリームプログラミングやユーザー機能駆逐開発、適応的ソフトウェア開発といった他のアジャイル開発の旗振り役にもなります。アジャイル開発を進めるメンバーをコーチングし、成果をあげることに集中します。

つまり、アジャイルコーチがスクラムマスター候補にスクラム開発について指南して環境を整えるということも往々にしてあります。

スクラムマスターはスクラム開発特化型のアジャイルコーチ、といってもよいでしょう。

スクラムマスターとプロダクトマネージャーとの違い

従来のウォーターフォール開発で、プロジェクトやプロダクトとの責任を負うのはプロジェクトマネージャーやプロダクトマネージャー。

この役職につくと、いわゆるマネジメント業務も発生してきます。
 

プロダクトマネージャーはプロダクトの市場価値を高めることが主目的ですが、必要に応じて人や予算の管理業務が発生します。

またプロジェクトの責任者であるプロジェクトマネージャーを兼任する場合もあり、管理すべきものを列挙したらきりがありません。

一方でスクラムマスターに求められるのはスクラム開発を成立させることのみ。

実はコストや納期管理はプロダクトオーナーの役割としてスクラムガイドに明記されており、スクラムマスターは担っていません。

また、スクラムマスターはエンジニアの上に立つ存在ではありません。

対等な立場からエンジニアが活躍できる環境を整える“支援者”といえます。

「プロダクトマネージャーにはマネジメントスキルが必要」と言われていますが、スクラムマスターに必要なのはコーチングスキル。

管理してけん引するのではなく、エンジニアと共に歩めるよう旗振り役に徹しているのです。

プロダクトマネージャー経験はスクラムマスターで活用できるのか

負うべき責任の範囲が異なり、必ずしも役割が被らないプロダクトマネージャーとスクラムマスター。

しかしある程度の経験値が求められることから、プロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーからスクラムマスターになることも増えています。

ここではプロジェクトマネージャーからスクラムマスターに移った経験者の声を紹介しましょう。

元々ウォーターフォール開発のプロジェクトマネージャーとして長年経験があったAさん。

PMとして品質・コスト・スケジュール管理を徹底し、メンバーが自分のタスクに没頭できる環境づくりに徹していました。

しかし、スクラムマスターに求められるのは管理ではなくリーダーシップ。

PMとして意識していたことをプロジェクトメンバー全員で担うことになるので、スクラムマスターとしての価値創造をどうするか悩む時期があったようです。

この方は、スクラムマスターとして結果を残すならプロジェクトマネージャーの素地はあって損はないと考えています。

ここで得たスキルを応用することでスクラムマスターとして活躍できるのです。

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さいごに

スクラム開発において重要な役割を果たすスクラムマスターとプロジェクトオーナー。

スクラム開発を機能させることに責任を担うスクラムマスターと、プロダクトそのものに責任を持つプロジェクトオーナーが連携してよりよいプロダクトを作っていきます。

役割としては従来型の開発におけるプロダクトマネージャーと似たところがあります。

しかし、プロダクトマネージャーが管理しているものをそのままプロダクトオーナーが管理するわけではないですし、スクラムマスターがマネジメントを担うわけではありません。

ただ、プロダクトマネージャーの経験を活かせる部分はありますので、経験値をもとにスクラムマスターに挑戦する価値はあるでしょう。

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